リーゼントしゃぼん玉のブログ

八丈島に住んでいます。希望してきました。

「一私小説書きの日乗 憤怒の章」西村賢太を読んで

おばんです。

リーゼントしゃぼん玉です。

 

先日、西村賢太先生の「一私小説書きの日乗 憤怒の章」を読んでみました。

芥川賞を受賞した「苦役列車」や、名作と名高い「小銭を数える」も読んでおらず、人生初の西村賢太先生の作品が、一私小説書きの日乗でした。

 

 

この作品は、西村賢太先生の日常を、簡潔に、かつ生々しく描写されており、読み進めるうちに西村先生の息遣いが聞こえてくるようになる没入感のある小説です。

 

面白かった。ストーリーがどうとか、心の機微に感動するって話じゃあない。

淡々と日常が紡がれていくんだけど、淡々に少しずつ濃淡が見えてきて、最後は西村先生の酒を飲む姿が、出版社に憤怒している様が、信濃路でウインナーを食べるさまが、実に鮮明に浮かび上がってくる。

 

下に一部抜粋する。

九月十一日(日)

十一時起床。入浴。終日無為。

夜、買淫。 帰路、喜多方ラーメン大盛り。深更、缶ビール一本、宝一本弱。

セブンイレブンのおでん八個と、唐揚げ弁当にて飲む。

一私小説書きの日乗 憤怒の章(2) (角川文庫) [ 西村 賢太 ]

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こういう日常が、淡々と書いてある。テレビ収録の日もあるし、出版社と打ち合わせしたり、知人と飲みに行ったり。すごくリズムがいい。

言葉遣いも、リズムがいい。夜、買淫。終日無為。いいね、語呂がいい。

 

恥ずかしながら僕は、私小説(わたくししょうせつ)というジャンルがあることすら、今回初めて知った。

私小説は、作者が直接に経験した事柄を素材にして、ほぼそのまま書かれた小説を指すらしい。

これって、一人一作は私小説書きうるってことだよね。

いつか私小説ブームがくるといいな。とぼんやり考えていたら、YOUTUBEのルーティン動画を思い出した。

 

ぼくが好きなのは、絶望ライン工ch@zetsubouline さんと、社畜OLちえ丸@chiemaru さんのルーティン動画だ。

他の人の日常って、不思議と見たくなっちゃうし、見てると落ち着いたり、元気もらえたりするよね。

 

きっとこういう需要があるから、私小説だったり日常系のYOUTUBEが出回っているんだと思う。

そのうち、アニメでも、起伏のないただの日常を題材にしたものが出てくるかもしれない。

 

そんなことを考えていました!

 

ではまた。